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2023年5月の記事一覧

自己肯定感を育む~思考の視覚化&言語化~

自己肯定感を育む、授業・研修を進めています。

1 「自分づくりアンケート」の分析結果からペップトークによる☆思考の言語化☆

 昨年11月、今年5月、2回のアンケートを比較した結果、

ペップトークを活用した授業を行うと、子供の心に内的変化が起きることが明らかになりました。

<分析方法>

本校は少人数のため、個別の変化を見取ったほうが効果の度合いが掴みやすいと考えました。

そこで、個別に内容比較をした結果、2回目に数値が上昇した事例が多くみられました。

<3つの観点>

A:自尊感情・自己受容・自己効力感

B:関係の中での自己(自己有用感)

C:自己信頼・自己決定

<集団全体の結果>

全体の傾向は、2回とも満足度が高い状態でした。(各項目4点満点)

<個別の傾向分析>

第1群はABC3項目ともに上昇がみられたもので8.6%。

第2群は1~2項目で上昇がみられたもので26%。

第1群、第2群をあわせて34.6%の上昇がみられました。

(第3群:変化なし47.8%、第4群:下降17.3%) ※分析対象23名(アンケート2回実施)

<考察>

つまり、「日頃から、よい言葉を使う大切さに気がつかせる」、「前向きな言葉で、思考を言語化する経験」、によって、自己肯定感が育まれるということです。

 

2 日常実践にみる子供の変容 ~マンガ思考による☆思考の視覚化☆

今年4月、中学年で行ったマンガ思考の出前授業、職員研修を行いました。

その後、日常の振り返りでマンガを描いて心の整理をする実践を継続しています。

以下は避難訓練でドキドキした場面をもとに、自分の心と向き合った事例です。

 

3 マンガ思考による振り返りの効果 (視覚化→言語化)

このワークの特徴は、

1 マンガを先に描く(思考の視覚化)、

そのあとで、

2 吹き出しに言葉を書く(思考の言語化)

という点です。

感情を視覚化してから言語化するという流れは、思考する上でとてもスムーズだと考えます。

 

4 思考シュミレーションで円滑なコミュニケーション

例えば、人と会話するときに、話しかけたら、相手がうかない顔をして、言葉が返ってこないときがあるとします。

その表情をよんで、相手の心理状態を想像して、

(どうしたのかな、悩みがあるのかな、何かあったのかな、ひょっとして私が何かしたから?)

というように頭の中で考えます。

しかし、言語化をうまくできないと心のモヤモヤの整理がつきません。

そういう過程をマンガの一コマにすることで、思考が整理されます。

この学びの過程がシュミレーション、「お手本」となって、円滑なコミュニケーションにつながるのです。

 

5 発達段階に応じた関わり

5月24日は、5・6年生がマンガ思考のオンライン授業に取り組みました。

はじめは、やや緊張していましたが、マンガのキャラクターになりきって役割演技をする中で、

多様な気づきがあったようです。

授業の最後には、画面越しに講師の先生に質問する場面も生まれました。

マンガ思考で考えていることや感情をマンガに表すことで、

自分の心の状態を客観的にみることができることを体験から学んでいました。

 

6 視覚化・言語化の両輪で「思考の最適化」

研修センターの副所長さんも参加された職員研修では、母性キャラ、父性キャラの比較など、やや高度な内容についても扱いました。

その人の心の状態、対象に応じた関わりが大切であることを学びました。

職員も、最近、イライラしたことなどの事例をとりあげて交流する、

AIが生成した画像をみて、その場面を想像してストーリーを語るなど、

笑いの起きる和やかな雰囲気の中でも、深い学びがありました。

これまでの研修の中で、みえてきたことがあります。

多重知能理論で提唱されているように、人の知能には特性があります。

そこを踏まえて、相手にどんな関わりをしたらよいのか、

どうしたらスムーズに考えることができるか、最適解を選択することが大切です。

ですから、児童・生徒を理解する、「思考の最適化」をする方法として、

2つの取り組みを共通事項として扱うことが必要だと考えます。

つまり、自己肯定感を育むためには、

~思考の視覚化&言語化~の両輪で実施することが重要ということです。

① ペップトークによる☆思考の言語化☆ 

② マンガ思考による☆思考の視覚化☆  

いわば、①は口、②は目の役目です。

今回の授業・研修の学びを、個別面談など、様々な場面で活用できそうです。

<お知らせ>

講師の寺田彩乃さんから、事後アンケートへのフィードバックをいただきました。

詳しくは、マンガ思考ホームページに掲載されています。

今後も、継続して研究を進め、実践発表の場につないで参ります。

令和5年度 実践研究・研修スタート(全体構造)

東川第一小学校の校内研修は、月1回の全体会と日常授業をつなぐ「実践的研究」を進めています。

指導案検討に時間をかけるよりも、毎日の授業をすばやく改善することを重視しているためです。

そのほうが、子どもの学びを保障することができると考えています。

4月の全体研修では、”マンガ思考”の実技と、研究の全体構造・年度計画を確認しました。

全体構造図は、「学校経営方針」に基づく「授業改善プラン」が直結する構造になっています。

この整合性を図ることに加え、

「何を」「どうすれば」資質・能力を高める授業になるのか、

実践する「内容と検証方法をシンプルに示す」ことが、

実践研究の質を高めることになります。

もちろん、授業は”生もの”と称されるように鮮度が大切です。

現代的な課題に対する解決手法、ICT活用の方法、教授の基本技術、

そして、最新の「教えないスキル」を活用した授業観をアップデートすることが、

本年度の実践研究の行く末を握ると見通しています。

令和4年度は、上川へき地複式教育連盟中部地区ブロックの公開授業、地域連携研修のオンライン公開研修や他校視察等を通して、各所から様々な助言をいただき、実践的研究と授業改善の取り組みの方向性について、研修を深めてきました。

小規模校の実践を公開するメリットは、

水平比較よりも「垂直比較」で、子どものたちの成長を客観的に見つめ直す貴重な機会として捉えています。

今年度は、各地域で参集型の研究会が増えることと思いますが、

積極的に情報収集し、相互視察やオンライン授業交流など、協働研究を進めていきたいと考えております。

手始めに、本校の研究全体構造図を公開します。

忌憚のないご意見をいただければ幸甚です。

令和5年度 東川第一小学校 研究の構想

ダウンロード:研修資料>

R5「学びに向かう力」をつける実践研究.pdf

【優言実幸】(その気・わかる気・できる気)から「考え・深め合う」授業へ