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自己肯定感を育む~思考の視覚化&言語化~

自己肯定感を育む、授業・研修を進めています。

1 「自分づくりアンケート」の分析結果からペップトークによる☆思考の言語化☆

 昨年11月、今年5月、2回のアンケートを比較した結果、

ペップトークを活用した授業を行うと、子供の心に内的変化が起きることが明らかになりました。

<分析方法>

本校は少人数のため、個別の変化を見取ったほうが効果の度合いが掴みやすいと考えました。

そこで、個別に内容比較をした結果、2回目に数値が上昇した事例が多くみられました。

<3つの観点>

A:自尊感情・自己受容・自己効力感

B:関係の中での自己(自己有用感)

C:自己信頼・自己決定

<集団全体の結果>

全体の傾向は、2回とも満足度が高い状態でした。(各項目4点満点)

<個別の傾向分析>

第1群はABC3項目ともに上昇がみられたもので8.6%。

第2群は1~2項目で上昇がみられたもので26%。

第1群、第2群をあわせて34.6%の上昇がみられました。

(第3群:変化なし47.8%、第4群:下降17.3%) ※分析対象23名(アンケート2回実施)

<考察>

つまり、「日頃から、よい言葉を使う大切さに気がつかせる」、「前向きな言葉で、思考を言語化する経験」、によって、自己肯定感が育まれるということです。

 

2 日常実践にみる子供の変容 ~マンガ思考による☆思考の視覚化☆

今年4月、中学年で行ったマンガ思考の出前授業、職員研修を行いました。

その後、日常の振り返りでマンガを描いて心の整理をする実践を継続しています。

以下は避難訓練でドキドキした場面をもとに、自分の心と向き合った事例です。

 

3 マンガ思考による振り返りの効果 (視覚化→言語化)

このワークの特徴は、

1 マンガを先に描く(思考の視覚化)、

そのあとで、

2 吹き出しに言葉を書く(思考の言語化)

という点です。

感情を視覚化してから言語化するという流れは、思考する上でとてもスムーズだと考えます。

 

4 思考シュミレーションで円滑なコミュニケーション

例えば、人と会話するときに、話しかけたら、相手がうかない顔をして、言葉が返ってこないときがあるとします。

その表情をよんで、相手の心理状態を想像して、

(どうしたのかな、悩みがあるのかな、何かあったのかな、ひょっとして私が何かしたから?)

というように頭の中で考えます。

しかし、言語化をうまくできないと心のモヤモヤの整理がつきません。

そういう過程をマンガの一コマにすることで、思考が整理されます。

この学びの過程がシュミレーション、「お手本」となって、円滑なコミュニケーションにつながるのです。

 

5 発達段階に応じた関わり

5月24日は、5・6年生がマンガ思考のオンライン授業に取り組みました。

はじめは、やや緊張していましたが、マンガのキャラクターになりきって役割演技をする中で、

多様な気づきがあったようです。

授業の最後には、画面越しに講師の先生に質問する場面も生まれました。

マンガ思考で考えていることや感情をマンガに表すことで、

自分の心の状態を客観的にみることができることを体験から学んでいました。

 

6 視覚化・言語化の両輪で「思考の最適化」

研修センターの副所長さんも参加された職員研修では、母性キャラ、父性キャラの比較など、やや高度な内容についても扱いました。

その人の心の状態、対象に応じた関わりが大切であることを学びました。

職員も、最近、イライラしたことなどの事例をとりあげて交流する、

AIが生成した画像をみて、その場面を想像してストーリーを語るなど、

笑いの起きる和やかな雰囲気の中でも、深い学びがありました。

これまでの研修の中で、みえてきたことがあります。

多重知能理論で提唱されているように、人の知能には特性があります。

そこを踏まえて、相手にどんな関わりをしたらよいのか、

どうしたらスムーズに考えることができるか、最適解を選択することが大切です。

ですから、児童・生徒を理解する、「思考の最適化」をする方法として、

2つの取り組みを共通事項として扱うことが必要だと考えます。

つまり、自己肯定感を育むためには、

~思考の視覚化&言語化~の両輪で実施することが重要ということです。

① ペップトークによる☆思考の言語化☆ 

② マンガ思考による☆思考の視覚化☆  

いわば、①は口、②は目の役目です。

今回の授業・研修の学びを、個別面談など、様々な場面で活用できそうです。

<お知らせ>

講師の寺田彩乃さんから、事後アンケートへのフィードバックをいただきました。

詳しくは、マンガ思考ホームページに掲載されています。

今後も、継続して研究を進め、実践発表の場につないで参ります。