2022年6月の記事一覧

人生を豊かにする「前向きな言葉かけ」いつもありがとう

今週は各学年の参観日が行われています。

公開される授業は1時間ですが、その時間にみえる子供の姿は毎日の積み重ねです。

本校の強みは何か?

と問われたら、

「子供をまるごと受け入れ広い心で接している」こと。

しないことは何?

と問われたら、

「子供を叱らない」こと、

と自信をもっていえます。

 

他人と一緒に過ごす中では何かとトラブルは起きます。

その時に、どうしてそうなったのかを一緒にみつけることが大切だと考えています。

スタートは、

「どうしたの?」

と状況を把握します。次に、

「どうなったらいい?」

と理想の状態(目標)を定め、

「どうすればいい?何か手伝えることある?」

と方向づけと後押しをする。

問題を客観的に捉えて、解決にむけて寄り添う関わりです。

 

先生と子供のやりとりをみていると、こうした場面をよく見ます。

授業に集中できないときがあれば、声をかけて状態を把握し、「待ってるよ」と無言のサインを出して、動き出すまで見守る。

忘れ物などがあれば、道具を貸して活動の手助けをする。

「雨にも負けず」の詩にあるような対応が日常的に行われていることに心をうたれます。

「自立」する子が育つ環境は、大人が「待つ姿勢」・「手放す感覚」から生み出されると感じています。

 

高学年の参観授業は鑑賞でした。曲を聴いて思い浮かんだ自分の考えを書く活動。

低学年の音楽授業は、リズムを感じて自分が選んだ動物の鳴き声を表現する活動。

2つの授業の共通点は、「自己決定」する活動です。

自分で決めたことには責任が伴います。

子供は自分で選んだことは最後までやり遂げようとします。

しかしながら、

「怠ける」、やらないことを「ごまかす」、面倒くさいことから「逃げる」、

都合よく理由をつけて「正当化する」、「批判する」ことで自分を守るなど、

人は心に何か弱い部分をもっていることには気をつけなければなりません。

その心の状態が行動に出てきたときには、

「違うよね、本当はこうしたいのかな?」と問いかけなど、正しい行動を促すことがあります。

その際も、「前向きな言葉かけ」で共感的に伝えることを大切にしています。

説諭する場合も、子供の心に染みいるように、信頼関係をつくる努力を積み重ねています。

 

「教諭」は教え諭すと書きます。

「教える」のはそれほど難しいことではないのですが、

「諭す」のは鍛錬を積んでできるようになるものだと、

これができることが、先生の専門性だと感じています。

 

ご家庭でもお子さんの対応で悩むことは誰もが経験されていることと思います。

親には心配をかけたくないと思うのが子供です。

言葉や態度の奥にある子供の「心」がみえていますか?

本当に思っていることは何かを感じようとしていますか?

子供は何かサインを送っているものです。

それがわかったときに親も成長すると思うのです。

(気がつかなくてごめんね、教えてくれてありがとう)

そういう気持ちをもって子供の姿を見つめる大人であっていただきたいと願っています。

 

保護者の方のみならず、子供の様子や先生がどんな授業をしているかをご覧いただく機会をもうけて、

「地域の大人」が相談にのってくれる「あたたかく見守る学校」

映画「みんなの学校」に表されている「世界観」を皆さんで共有し、

様々な意見を交わして、

人生を豊かにする「前向きな言葉かけ」を大切にしていく、

あたたかいコミュニティになっていくことを夢見ています。

 

今日、ご家庭で職場で、大切な方にどんな言葉をかけますか?

まず、心の中で唱えていただきたい魔法の言葉があります。

(いつも、ありがとう)

次に出てくる言葉に何か変化がおきるかもしれません。

 

まず、鏡にむかって自分に声をかけてみましょう。できれば声に出していただけると幸いです。

(いつも、ありがとう)

 

【一小タイムライン】地域の人に支えられ愛される学校に

学校に隣接する第一地区コミュニティセンターでは、地域の人々が集まって様々な活動が行われています。

シニア向けの健康教室、ヨガのサークル、放課後は子どもむけの英語スクールも行われています。

また、コミュニティタクシーも地域の人の手で運営されており、放課後に学童保育や少年団を利用する子どもの見守りをサポートしていただいています。

もし、これらの子どもたちを支える体制がなかったら、保護者が迎えに来るまで学校で子どもを預かることになります。すると、翌日の授業準備をする時間がとられることになり、勤務時間の中で業務を終わらせることができなくなってしまいます。

一般的に、学校敷地内や隣接する保育所などに児童館が併設されている場合もありますが、本校のように小さな学校ではそういった施設が近くに設置されないことが多く、町中にある大きな施設を利用することになります。

東川町も中央にある学校に併設する施設で学童保育が行われていますが、利用は任意となっています。

放課後に子どもがどんな過ごし方をするかは各ご家庭の方針に基づいて判断されることですが、

毎日の変化に応じて、各施設と連絡をとりあって子どもの安全を守っています。

子どもの希望にあった過ごし方ができる環境、安全・安心な居場所づくりは社会教育を担う行政・学校・地域の連携で成り立っています。

それを支える多くの方々の支えがあること、挨拶やお世話になっていることに対して感謝を伝えられるように毎日、声かけをしています。

とはいえ、子どもですので、いつも礼儀正しくできるとは限りません。はしゃぎすぎたり、喧嘩などで、ご心配をおかけすることも多々あります。

何かあったときに、学校の指導が良くないとか、家庭のしつけが良くないとか、お叱りをうけることもありますが、得てして、社会の中で一番ルールを守っているのは、子どもだということをご理解いただきたいのです。

コロナの影響で様々な制限を受け、感染症対応マニュアルに沿って教育活動をする中で、未だに給食時は完全なる「黙食」です。

その整然たる素直な姿をみるとき、

子どもは大人の管理の下に、我慢を強いられる存在であること、

同時に、大人は子どもに見られていることを意識して生活することが大切だと気づかされます。

 

地域で行われた会議の折り、

「子どもたちのためにも夏のお祭りを再開したい」

「飲食しないのであればよいのでは?」

「安全のために、もう少し待ったほうがいい」

など、様々なご意見を伺いしました。

未だ収束の見通しがない状況ですが、隣接の旭川市では音楽大行進や、美瑛町ではマラソン大会が再開されました。

東川町も感染対策をしながら様々なイベントが少しずつ再開される方向で動いています。

学校の伝統芸能「一小太鼓」のステージ出演依頼が届き、その対応について検討し始めたところです。

また、第一小校区の第一自治振興会および各町内会、コミュニティスクール、PTAなど様々な団体でも今後の運営について論議が進められています。

いずれにせよ、様々な意見をもとに、よく話し合って、

「今できること」を探していくことが大切だと考えています。

 

そんな地域の人の温かい気持ちが伝わってくる「おもてなし」を発見しました。

夜の会議が行われたコミュニティセンターの入り口には、キャンドルライトの明かりが灯されていました。

まだ明るいうちはよくわからなかったのですが、暗くなった帰りがけには参加された各町内会のみなさんはきっと癒やされたことでしょう。

私もこの明かりをみて、ほっとした気持ちになりました。

これも今できることの一つだと思いました。

あたたかい地域の人に支えられ愛される学校づくりをめざして、

未来をつくる子どもが笑顔になるよう、子どもの心に寄り添い、耳を傾け、

日々、小さな努めを果たしていきたいと考えています。

タブレットで自在に学ぶ子どもの成長

6/10金、上川教育局から講師を招いて、2年生と5・6年生の授業参観をもとに職員研修を行いました。

2年生の授業は別日に行いましたが、事前動画のダイジェストをみていただいて、ポイント解説をいただきました。

「1年生にクイズ問題を出すという学習の目的が簡潔・明瞭でわかりやすい」とコメントをいただきました。

5・6年生は、タブレットを活用した自学スタイルでしたが、集中して自分の考えを端的にまとめていく様子がみられました。

説明文のポイントと学校の良いところを伝えるために、ロイロノートという道具を活用して要点を整理しました。メモとプレゼン資料を同時につくっている感覚です。

従来のノートやワークシートといった紙と鉛筆を使わなくても、

要点を整理し、まとめた段階で瞬時に、大型テレビの画面上で共有できるので時間短縮になります。

 

タブレットはノート代わりではなく、ノート以上の便利な機能を使いこなす文房具となっていることを実感します。

 

先生が説明しながら黒板に書いたものをノートに写す型の授業はすでに過去のスタイルになっています。

現在は、「説明しない、教えない」スタイルが基本です。

次のような探究型の授業が求められています。

1 必要な情報は自分で調べて、情報を整理・共有し

2 課題やギャップを感じたところで、考えを互いに交流する場をつくり

3 知的創造を促す

つまり、先生にはファシリテーターやガイドとしての役割が重要になっています。

 

もちろん、子どもの意見に耳を傾け、良いところを認め励ます姿勢は、これまで同様に、学習の意欲づけにはとても重要です。

 

授業後の検討会では、演習で「なぞかけ詩」の問題が出されました。

問題は次の短い一文です。

「手製の檻に入っている」

さて、これを聞いて、どんなこと・ものを思い浮かべますか?

「知っている人は言わないで下さいね。」

との追加指示を聞かずに、

「・・・・」と詩の題名を思わず答えてしまう場面もあり、笑いが起きました。

子役とはいえ、忠実に正解を答えたくなる昔ながらの学びの型は体にしみこんでいるものです。

しかしながら、その後は、皆が違うものをイメージし、意見がわれました。

多様な意見を共有し、互いに認め合い、知的思考を促される学びの楽しさを味わうことができました。

 

先生や子どもが、

「明日の授業が待ち遠しい」

という感覚になったときに、成長のドラマが生まれる期待感にあふれた楽しい時間でした。