「質問できる子」が育つ環境づくり~予防安全~

「どうやったら連続でできるんですか?」

二重跳びを練習していた子が質問してきました。

授業ではなく、休み時間に聞いてきたのです。

 

本校では、「パワフルウィーク」という名称で全校で体力づくりを行っています。

ウィークとはなっていますが、実際には、木曜日の中休みだけ参集します。

様子を見にいくと、クラス毎に縄跳びにチャレンジしていました。

カードに挑戦する種目と回数が示してあり、それをもとに子ども同士で見合って練習をしています。

 

6年生の中には30回以上、二重跳びに成功している子がいました。

下の学年の子はその様子を遠巻きにみています。

 すると、

二重跳びを練習していた子が質問してきました。

「どうやったら連続でできるんですか?」

そこで、縄の回し方と、リズムの取り方の二つの練習方法を伝えました。

ほんの1分程度の時間です。

この時間を創り出したのは、質問した子ども自身です。

 

授業では、活動内容と目標を教師が示し、そこに向けて活動させ、達成できるまで努力を促します。

ある意味、強制力が伴う、他律的な営みが授業です。

はじめは仕方なくやっていても、できないことができるようになるのは達成感や満足感が得られます。

だから、はじめは嫌々でも、できるよと励ましたり、努力したら褒めたりする中で、

子どもはだんだん面白くなって努力するようになります。

 

この縄跳びの取り組みも、休み時間に集めて活動させているわけですから、

自主的な取り組みと言っても、完全な自由ではありません。

 

本来的な趣旨から言うと、休み時間は「休む」ことが活動です。

あくまで、子どもは「遊び」の延長の中で、推奨される提案に対して「付き合って」活動しているわけです。

そこを踏まえて、毎日の休み時間ではなく、週1回だけの参集となっています。

 

だからこそ、支える大人は、子どものやりたい気持ちを尊重し、

その願いに応じた付き合い方を、意識して関わっています。

 

つまり、「質問してくる子がいる」という事実から読み取れることは、

子どもの心が解放されている、

・できるようになりたい(できる気)、

・わかるようになりたい(わかる気)、

・やりたい気持ち(その気)、

になっている状態ということです。

 

これは、とりもなおさず、一番の支えとなる担任、サポートする教職員の集団が、

上記を意識しているから起きる素敵なドラマと実感しています。

「優言実幸」(優しい言葉で幸せが実る)、

言葉による自己肯定感を育むインプットが功を奏しているとみています。

 

反対に、もし、指示的、威圧的、子どもは大人に従って当たり前、

というような感覚で先生が授業や学級経営をしていると、

クラスに支持的風土は育ちませんし、

それを放っておくと、いじめの温床をうむことにもつながってしまいます。

 

それを防ぐ方法の一つが、いじめアンケート、体罰調査、など、子どもの声を聴く仕組みです。

大切なことは、それがあるから気をつけるではなく、

学びの主体者である子どもが自己実現を図るための環境を、

どのようにつくるかという設計図(グランドデザイン)を描き、

それを教職員で共有し、

枠組み(学年・学級・授業・行事)の中で、具体的に進めていくことです。

昨日は、「マンガ思考」という思考を視覚化するツールを学ぶ出前授業と研修がありました。

前向きな言葉かけペップトークと共に、

自己肯定感を育む予防的安全装置として、有効な方法の一つです。

すでに、中学年では、日常の振り返りでマンガ思考のシートを活用して、心の整理をする取り組みを進めています。

 

運動会も取り組みの一つです。

「ようこそ、いらっしゃいました!」

「観に来て下さり、ありがとうございます。」

「ご参加いただき、いかがでしたか?」

という言葉や態度、相手意識を発揮する子どもの姿を思い描いています。