2023年3月の記事一覧
令和4年度終了[3月学校便り]~別れの季節、子供が伝えた言葉~
<学校便り12号より>
3月22日(水)、卒業証書授与式が行われました。今年度の式も、規模を縮小しての実施となりました。しかし、6名の卒業生は、立派な態度で臨んでおり、感動的な式となりました。4月からは中学生です。夢と希望に満ちた6名の前途を祝し、実り多い学校生活になることを期待しています。卒業おめでとうございます。
春は別れの季節です。
3月末で7名の教職員が離任します。保護者・地域の皆様方には大変お世話になりました。
本校教職員の他にGlobeの指導でお世話になった先生も含め、
お別れの言葉、感謝の言葉をかける子供たちの姿がありました。
「また、一小に遊びに来てください!」
「一小のことをわすれないでください」
思い出を大切にしたいと思う気持ち。
「○○先生 今年担任 ありがとう」
「ありがとう 平日の勉強 たのしいです」
「先生が休みの時 楽しい勉強 うれしいよ」
句で表すお礼の言葉。
「いつも準備をしてくれてありがとうございました。」
「委員会活動で一緒に行動できて楽しかったです!」
様々な体験を思い出しながら感謝を伝える。
「次の学校でもがんばってください!」
そして、これから先への応援メッセージ。
離任式の前に、子供たちに伝えた言葉がありました。
ある教え子の話をしました。
「はじめは歌手になったけど、今は人を元気にしようと別の仕事をしています。」
「いつかは、ここにいる誰もが学校を去ります。
離任される方は、この先、どんな道を歩まれるかをお話されます。
話を聴いて、何かを感じてほしい。」
感じ方は、人それぞれです。
自分の生き方をみつけるための栄養になってくれたらと思います。
3月学校便りにも書きましたが、
音楽の出前授業の最後に、講師から
「いくつになっても新しいことに挑戦できる」
という応援メッセージをいただきました。
一小で一緒に”セッション”した学びを生かしてほしいと願っています。
新たな道への挑戦を応援しております。ありがとうございました。
令和4年大人組の皆さん
”STEAM教育”はじめの一歩!(「音楽の森」出前授業~RAVvastを使った作曲体験~)
3/9木10:35〜12:15
東川町立東川第一小学校にて、
ロシアの楽器RAVVastを使った音楽ユニット(3名)による演奏と演奏体験の出前授業を行いました。
対象は中・高学年の児童です。
参考までに、講師(奏者SAYO)の演奏動画を紹介いたします。
https://youtu.be/9TKwnXTN90Q
「本校では知育のみならず、民謡(三味線・太鼓・お囃子)体験や、インドネシアの楽器体験など、日本や世界の音楽に触れ、多様性ある芸術・文化の魅力について学んでいます。
また、40周年を迎える「一小太鼓」の文化継承を通じて、創造する感性を育むカリキュラム編成を進めています。
「音楽の森」と称したのは、多様な芸能文化に触れることに加え、
非認知能力を育むことが子供の未来を拓く力の礎になると考えているためです。
今回の授業では、音楽(Music)を入り口に、音階が織りなす数学(Mathematics)的な法則性や芸術(Art)的な観点に触れ、子供が作曲に向かう豊かな発想や感性を培う機会になればと願っておりました。
さて、本校では、探究的な学びにつながる授業設計について、校内研修やカリキュラムの改善を進めております。
そこで、今回の授業の流れを振り返り、様々な授業でも応用可能な形になるよう、再現しながらポイントを洗い出し、構造化にチャレンジしてみます。
なぜなら、
よくありがちな、子供の活動が主体的でなく一方通行型、授業後の振り返りもなく、なんとなく「楽しかった」で終わってしまう出前授業にはしたくないのです。
外部講師を招聘しての特別授業をやるからには、それに見合った「学び」が残り、学校改革・授業改善のエキスとなるように、喩えるなら、食事が心や体の「栄養」となるように、学びを整理・統合して教育課程に位置づけを図ることが重要です。
実際の授業をご覧いただくのが一番ですが、2時間の体験授業の流れを示します。
<つかみ>
0 講師紹介(本校職員から)
1 デモ演奏「ルパン三世のテーマ」
2 音の体操でからだほぐし(ドラムの音にあわせて)
3 ロシアの楽器RAVVastを鳴らして音の違いや音階の特徴を感じる
2番のからだほぐしは、昨年9月に北海若衆太鼓を招いての地域連携授業の導入と似ていて、音を体で感じることで意欲を喚起させます。音楽ですから、「音を楽しむ」ことが始まりです。
2人組になってリズム打ちをしました。(*は休符)
A パ ウン パ ウン パ ウン パ ウン
♩ * ♩ * ♩ * ♩ *
B ウン パ ウン パ ウン パ ウン パ
* ♩ * ♩ * ♩ * ♩
裏拍を感じて、交代でリズムを打つ中で、心も体もリラックスしていく様子が伝わってきました。
職員2人で子供の前でデモをしましたが、テンポをあげると合わせるのが大変で、会場に笑いがおきました。
その後、一人ずつ、素手やマレットでRAVVastを鳴らしてみました。
基本の9音しかない楽器でも音を鳴らすには法則性があります。
叩き方は、音の低い中心部から始まり、手前から左右交代で奥側へと移動していくことを習いました。
はじめは、恐る恐るだった状態から、ローテーションしながら4台の打楽器を鳴らすと、次第に慣れていく様子がみえました。
ここまでは、「知る・感じる」の部分です。
これだけでは、作曲に至るまでの取組にはなり得ません。
「探究的な学び」へのアプローチは、この先をイメージすることが大切です。
それは、指導者が「ゴールイメージ」をもつということです。
その上で、どうすればよいのかを示す、つまり、「ナビゲート」していくことが重要です。
具体的には、探究サイクルを回すことが必要になります。
<探究サイクル>
A 知る・感じる
B ゴールイメージ
C ナビゲート
この授業の本筋はここから先です。
4 好きな楽器を選び、基本リズムを覚える
5 「TO THE SKY」という曲にあわせて、合同セッション
6 希望者に4つの音を選択させる
7 奏者が5人分のメロディを覚えて、コード(伴奏)・リズムをつけて創作
8 「作曲」のお披露目演奏
指導者が7・8の「ゴールイメージ」をもっているからこそ、6番のパートが授業に入ってきます。
作曲では、希望者5人が出てきました。
合同演奏では、4人が代表でRAVvastに挑戦しました。
作曲はしたことがないけれども、音は鳴らしてみたい、そういう好奇心があれば、誰でも曲は作れます。そのことを説明するのではなく、実際にやってみせる。
「そうか、できるんだ」
という実感が湧くように、授業の流れを組み立てるわけです。
よくありがちなのは、先生が問いを出して答えを教えてしまう「教え込む」授業です。
これでは思考回路が働かず、あまり記憶には残りません。
しかし、体を使って、頭もフル回転で体験したことが現実になるとき、学びは強く心に刻まれます。
休み時間の間、奏者が作曲する途中経過をみていた子供は、ワクワクして待っていました。
合同演奏と作曲を体験した子供の感想を紹介します。
「作曲では、10分ぐらいで曲が作れるのがすごいなと思いました。」
「実際に演奏のお手伝いで弾いたり、作曲したりして楽しかったです。ラヴァストが九つの音階が出せたりとてもきれいな音でした。」
「いっしょに演奏した時楽しかったです。」
「10分で私たちが言った音で作曲をするのがすごいと思いました。ラヴァストでルパン三世の曲を9つの音で弾くのがすごいと思いました。作曲の曲がいっぱいあってすごいと思いました。楽しそうに叩いているのが素敵でした。」
子供の感想をみると、授業の流れに集中して没頭していることが伝わってきます。
このように、”熱中する授業”には型があります。
【問い】 → 【活動&思考】 → 【体験&学び】
つまり、今回の授業は「体験&学び」が自然な流れで仕組まれているのです。
そして、
9 オリジナル3曲演奏
ここがクライマックスです。
最後は、創作3曲を連続で演奏し、感動を共有する時間と空間を創りだします。
これを最初にやってしまうと、お腹いっぱいになってしまいます。
冒頭、「ずっと聞いていると眠くなってしまうから・・・」
という解説がありました。
この部分は、”聴衆を楽しませたい”というプロ目線のこだわりだと思いました。
全体的には、曲間のトークも入れて、絶妙なバランスで授業が構成されていました。
中学年の感想です。
「ラバストの響きがすごく神秘的で、9つの音がすごくよかったです。
ドラムは、すごくリズムが良いし弾みが良かったです!いつかたたいてみたいです。
体操も面白かったし、勉強になりました!
キーボードもいい音が出てて良かったし、最後の演奏でもいい音が出ててとても良かったです!
3人の「秋雨」「流星群」「ひだまり」がすごく良かったです!!!!!!!
3人ともまた東川第一小学校に来てください!」
「えんそうを聞いていたら、ラバストの音楽がすごく不思議な音に聞こえてきて凄く面白かったです。じゅんびたいそうもふしぎだったけど楽しかったです。最初のルパン三世の音楽がすごかったです。もう一度聞きたかったです。他にも色々な曲を聴きたかっです。」
「ラバァストがとても綺麗な音でした。ラバァストひいて手で鳴らすのが難しかったです。なのですごいなとおもいました。作曲では、10分ぐらいで曲が作れるのがすごいなと思いました。ピアノと歌が上手くてびっくりしました。ドラムがうまくてすごいなとおもいました。また来て欲しいです。」
「ラヴァストでルパン三世の曲を9つの音で弾くのがすごいと思いました。作曲の曲がいっぱいあってすごいと思いました。楽しそうに叩いているのが素敵でした。」
子供の「リクエスト」、「アンコール」が起きる授業が理想です。
しかし、それが毎日できるほど、授業づくりは甘くはありません。
その準備も授業をするための基礎体力(問い・発声・コミュニケーション・場を回すなどの技能)も、
それを高めるための時間づくりも、打ち合わせも、
すべて、子供に力をつけるための鍛錬です。
その環境をつくることが、私たちのミッションです。
学校の働き方改革の実現は、学校単独では成立しません。
だからこそ、地域の方々・保護者・外部人材のサポートをいただき、そのアクションを共創する、
音楽で言うなら「協奏」(合同演奏)することが大切だと考えています。
今回の授業は、高学年も含めての「音楽」でしたが、この取組は、音楽だけで終わるものではありません。
最近、佐伯 夕合子氏の著書のタイトルにもなった『教えないスキル』が注目されておりますが、
子供が主体的に取り組む授業づくりは、教科の枠、学年の枠、ひいては、学校・地域の枠を越えた視点で構成することが求められています。
総合的な学習においてはSDGsの観点から、東川町独自の世界を学ぶ教科「Globe」との関連づけ、教科横断的な学習を進めています。
最後に、現在、進行中の「小さな学校の大きな挑戦」についてお伝えします。
令和5年度からは、異学年の交流班「たてわりホーム」による朝活にアップデートし、
・落語や漫才など話す聞くスキルの向上、
・マンガ思考によるコミュニケーションの向上、
・ペップトークによる前向きな行動習慣化、
など、多様な学びの機会を生み出すカリキュラム・マネジメントを進めております。
引き続き、
外部人材活用、異校種連携、地域・社会・企業連携など、
子供の声に耳を傾け、保護者・地域の方々のサポートをいただきながら
試行錯誤し、柔軟に教育課程の改善を図り、子供にとって有益な学びを提供し、
「未来を拓く力」(=学びに向かう力)を育む学校づくりを推進してまいります。
3月は別れの季節です。
教室では、自分の成長や友達の成長を認め合い、互いに感謝の言葉を記すなど、様々な活動の中で喜びに満ちた表情の子供の姿が目につきます。
いよいよ、3月22日、卒業式、学校のクライマックスです。
3月1日、北海道新聞の朝刊に防災学習の記事が掲載されました!
3月1日、同窓会の役員会がありました。
冒頭の挨拶で、1月31日に行った1日防災学校にて、同窓会長さんをはじめ、自治振興会の役員の方々、役場関係者に授業にご協力をいただいた旨をお知らせしました。
また、その発展形として今回の合同防災学習を行う機会に恵まれたこと、新聞記事に掲載されたこともお伝えしました。
同窓会長さんが、この授業に参加した経緯や授業の様子を取り上げてくださり、ご理解をいただきたいとの旨をお話しすると、
「どんどん、やったらいいです。」
と応援の声をいただきました。
「子供が未来を拓く力」をつけるために、教育活動の充実を図っていきたいという願いを地域の方と共有する機会をいただき、とても幸運に恵まれたことに感謝しております。
そして、今日の給食では、防災食(炊き込みご飯)が提供されました。
献立は予定通りではあるのですが、
一つ一つの偶然が重なると、
「味わい深いカリキュラム」
になるのだと実感しております。
子供の感想や何気ない一言に、当たり前ではなく、
「ありがたい」(=有り難い)ことと感じて、
感謝の気持ちが湧いてきます。
実は、この授業の影には、幾つもの素敵な人との出会いがありました。
元を辿れば、2年前です。
「落語教育家」に地域の会館で行なった出前授業をお願いしたことがありました。
老若男女が笑いを楽しんだ場で体験したのは、
575、337の句でつくられた「ペップかるた」です。
縁を繋いで、今年、本校の国語授業で「話す聞くスキル」を活用した「落語」に取り組んだ際、
落語教育家にコメンテーターをお願いしたのです。
その方の紹介で、教育関係事業を行なっている企業の社長さんと知り合いました。
その縁が、今回の合同防災学習の出前授業につながったのです。
子供たちは、ゲストによる授業があると、特別なんだなと感じていることがわかります。
そして、授業をしてくれたゲストの方にお礼は言いますが、
「今日の授業を用意してくれたことに感謝しています」などとは言いません。
感謝の押し売りをするつもりはありませんが、少し思いを巡らせてほしいなと思います。
何より、直接、子供に接している学級担任や教科担任は、時間や内容を調整して細やかに対応してくれているのです。
新聞記事に載るのも、取材をしてくれる記者さんがいるから、
そして、記者さんに情報を伝えた方がいたからです。
また、この防災学習を考えた社長さんが、どうしてこの企画を思いついたのか。
それを質問した他校の生徒がいました。
この感性は素敵だと思いました。
なぜなら、それは、企業理念にもつながる考え方だからです。
「質問はありませんか?感想はありませんか?」
と言われて、黙ってしまうことが多いように思います。
北海道民が少し控えめな気質傾向があるのは否定しませんが、
日本全国そして国際社会から見れば、「北海道」には憧れる人が多いという事実を知ることは大切で、
自分の地域の良さを知ること、それをアピールできることは、とても重要だと考えます。
それは、地域の経済を活性化させる、自分の住む地域を守ることにつながるからです。
そういう意味では、今回の出前授業は幾つもの収穫があるのですが、
今後の課題として、「考え、議論する力」に物足りなさを感じるところです。
今回の新聞の取材記事は、その力をつけるための”スタートライン”とも言えます。
最後に、記事のヘッダーと、掲載された子供の声を紹介します。
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【浪江の津波避難に学ぶ 東川第一小 オンライン防災教室】(2023年2月28日 北海道新聞HP)
東日本大震災の津波からの避難体験などを学ぶ防災教室「福島浪江の子どもたちに学ぶ 命を守る授業」が28日、東川第一小など全国4か所の小学校をオンラインで結んで行われた。
(中略)
「自分なら心が折れそうですごいと思った」
「地域によって避難の仕方が違うと思うから防災について考えていきたい」
(北海道新聞 令和5年3月1日朝刊)
令和4年度も残りわずかになりましたが、最後に、これだけは言えます。
本校職員の「カリキュラム・マネジメント力」は日々向上しております。
そして、子供たちは、考える力をつけてきています。
改めて、本校の授業づくりに協力いただいている関係者の皆様に、心から感謝申し上げます。
今後の成長に期待して、次の授業の企画に繋いでいきます。
(校長)
<防災教室の協力企業>
株)尾西食品 様
株)エンパシージャパン 様