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学校夏便り(長文ですが、多分面白い)
「夏休みの宿題は出しません」
と保護者会でお伝えした時、一瞬の戸惑いの後、「えっー!」という驚きの反応を目にしました。
加えて、子どもの希望をとって夏休みドリルを注文したければ購入サポートはしますが、本来そういう教材もご家庭で準備いただくもので、個人の意思で学習する教材の斡旋は学校の本来の役目ではないことをお伝えました。
様々な意見交流の中で、
「時代は変わっている、考え方を変えるときなのかな」という声をお聞きしました。
朝会講話では、夏休みの課題の取組が変わったことについて高学年の子どもはよく理解しているようでした。
代表の子のスピーチでは、「夏休みの課題はないけれども自分で考えて勉強したい」という意思表示をしていました。こうした意識が浸透した裏側には、授業で子どもたちが考えを表明する場面がありました。高学年のクラスではタブレットで夏休みの過ごし方プランを相互に発表していました。
今回は詳しい経緯についてお伝えしようと思います。まず、参考までに以下をご覧下さい。
小学1年生、初めての夏休み! 学習はどうしたらいい?【第1回】学習計画、立てる?立てない?
https://benesse.jp/kyouiku/202207/20220720-2.html
ベテラン教諭の論議の中では、「夏休みの計画は立てなくてもいい」が結論です。
保護者会でお伝えする前に職員で話した際、自身の体験や子育ての経験などを通して語り、
「長期休みだからこそできることをみつけてゆったりと過ごす環境づくり」
にウェイトをおくことが大切と方向性が定まりました。
そもそも、夏休みの宿題はなぜあるのか?本当に必要なものか?この問いをダイレクトに投げかけるところからはじめようと。
多かれ少なかれ学習に苦手意識を抱いたことがある方もいるかと思いますが、
「自分にあった学びのあり方」を見つける関わりをしていただいたことはありますか?
周囲の大人が上手にサポートしてくれる環境があれば、道は開けると思うのですが、逆の体験をしてしまうことがあったのではないかと。例えば、「その志望校は無理」などと否定されるような言葉かけで自信をなくしたネガティブな体験が残っているとしたら、それは記憶を書き換える必要があります。
今、「個別最適な学び」とか「探究的な学び」が言われていますが、
簡単に言うと、「学ぶことが楽しい」
という体験の中で学びの興味・意欲が持続することです。
子どもの頃に夢中になった遊びを思い浮かべていただければイメージしやすいのではないかと思います。
ちなみに、私はブロック遊びや、プラモデルの組み立て・分解、壊れた電気製品を直すなど、手を動かすことや工作が好きでした。
思いかげず、ある探究学習教材に関わっている方の仕事の動機を目にしました。受験勉強に向かう苦しさから、どのように立ち直っていったが記されています。
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地元の中学から高校受験をするも、受験勉強が嫌すぎて「もう二度としたくない」と決意。ここでも不屈の精神と集中力を発揮して高校→大学へと進める学校に進学。しかし「周りの大人は誰も楽しそうに生きていない」という思いから、学ぶ意味を見出せずにいた…
「自分でもどうしていいか分からず、大学1年の時に起業している方に話を聞いたり、就職活動みたいなことをしたりしてみたんです。その時、人生の恩人とも呼べる人に出会って。起業を目指していたその人は、つまらなそうな顔をしていた僕に、本当にキラキラした目でいろんな話をしてくれました。こんな風に楽しそうに生きている大人がいるんだ!って、その時、初めて思ったんです。
そしてふと、僕みたいな子ども、たくさんいるんじゃないかな?と思って。周りの大人に希望を見出せず、ここまでの学校生活で、受験勉強みたいなつまらない勉強しか教えてもらえず…そんな子どもたちと一緒に楽しいことや好きなことを見つけることができたら、と思ったのが、教育に興味を持ったきっかけです」
tanQ株式会社|スタッフ紹介 (tanqfamily.com)(滝沢 久輝氏)
今回の夏休みの課題への取組を提案した後、多くのご家庭でドリル教材を注文されたようですが、果たして本当に子どもがドリルをやりたかったのかどうかまでは把握できていません。
休み明けに、やってみてどうだったかを子ども自身が振り返り、
将来にむけた学びのあり方・自分にあったやり方を見つけるサポートが大切だと思います。
まだ夏休み期間があります。すでに配布のタブレットを活用して学習できるドリル教材がありますので、是非試していただきたいです。
ラインズeライブラリアドバンス (kodomo.ne.jp)
また、様々なサービスを試してみつのも一つの方法です。
無料版のアプリもあるので子どもと一緒に検索してみてください。
タンキュークエスト 学びをエンタメに。|カードゲームで遊んで学べる 探究型通信教育 (tanqfamily.com)
さて、後付けになりますが、
「私が夏休みの宿題をやめさせた理由」(澤田 二三夫 氏)
という記事に出会ったので、一部抜粋を紹介します。
(澤田先生は、元公立小学校の校長先生で「破天荒な校長」と言われていたそうです。)
私は、夏休みの宿題もなくしました。なぜかというと、子どもたちに勉強を好きになってもらうためです。子どもたちが「つまらない」と思うようなことはどんどんやめていこうと決めていました。ある時先生に「夏休みの宿題をなくせば、夏休み最後の出校日(登校日)はなくせるよね」と言いました。
すると先生は、「えっ、夏休みの宿題なくすんですか?そんなことできるんですか?」と驚きました。
「だって校長である私は一度も先生たちに『夏休みの宿題を出せ』と命令したことはないよ。でもみんな勝手に宿題を出している。だからやめてもいい」と言いました。(中略)
「読みたくない本を課題にして無理やり読まされるから読書嫌いになるんだ。子どもたちにもっと自由に本を読ませてあげたい。」と。
児童たちには、「読書コンクール大会があります。感想文を書きたい人は提出してください。」と言いました。夏休みの宿題をなくすことを伝えるとみんな喜んでいました。(中略)
私は保護者に話しました。
「皆さんは宿題をすることで進んで勉強するようになりましたか?宿題で勉強の習慣がつきましたか?勉強を好きになりましたか?」
「せっかくの長い休みです。子どもたちに『今しかできないこと』を体験させてあげましょう。子どもたちの自ら学ぶ力を信じて、私たち大人は子どもに何をさせてあげればいいのか考えましょう。」と。(中略)
遊びは誰もが「楽しい」と思えます。だからずっと続けられるんですよね。
でも勉強は、学校に通えば通うほどどんどん「嫌いなもの」「つらいもの」になってしまいます。それは大人たちがそういう勉強をさせているからだと思うのです。
私は小学校の校長を退職した後、幼稚園の園長として、今は小さい子たちと触れ合う日々を送っています。
園児たちは、「これなあに?」「えっ、すごい!」と言いながら楽しく遊び、遊びを通して学び、日々成長しています。
(日本講演新聞 2022年7月25号より)https://miya-chu.jp/
ちなみに、私は、高校時代、夏休みの読書感想文が書けなかったことで、一時期、不登校になりました。ホームルームの先生に「お前は真面目すぎる」と言われて、感想文は提出せずに学校に復帰することができました。このときに、苦手なものに無理に取り組まなくても、世の中は渡っていけると身をもって知りました。やらないことも選択肢の一つです。挑戦は成長の過程で必要ですが、やめる勇気をもつことのほうが大切だと思います。
暑い夏ですが、皆様、ご自愛下さいね。
【一小っ子集会】このまちの「ふつう」は「ふつう」ではないをみつけよう
連休明け、5/9(月)中休みに全校児童が体育館に集まってきました。
コロナ対応で密を避けようと集会ができない学校もある中で、
少人数である本校では、集まることについて「ふつう」に感じているのかもしれません。
児童会の代表の子の
「おはようございます!」
を合図に、子供たちが元気に挨拶をしてくれました。
挨拶の声からエネルギーが伝わってきます。
これも当たり前ではなく、「有り難い」ことと感じます。
連休中の過ごし方を問い、
初めて出会った人との話をしました。
「その人がつくった大きな石の塊が、学童保育が行われている施設の中にあります。」
「その施設の入口にも、種みたいなものがついた門があることを知っていますか?」
その存在に気づいている子供が、その形を手で伝えてくれました。
「その人がつくったのは彫刻といいます。」
それを知ったときに、とても嬉しかったことを伝えました。
「何か見つけたら、どうしてここにあるのかな?と考えてほしい。」
「身の回りにあるものの不思議をみつけよう。それが本当の勉強です。」
大人が「探究的な学び」の視点をもつと、
子供が何かを発見する機会を「待つ」、「見守る」関わりが生まれてきます。
ヒントは一冊の本です。
『東川スタイル』の帯びに書かれたキャッチコピー、
~このまちの”ふつう”は、ふつうではない~
「まち」を「人」に変えてみたら、きっと、他者理解が深まるでしょう。
多様な価値観を認める素養をつけることが、
「個別最適な学び」、「協働的な学び」につながると考えます。
5月は「探究するナビゲーター」になって教室を回り、子供の素敵を発見をお伝えしてまいります。